Last Update :2001.2.17
オーロラの撮影

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目次
1.カメラ選び
2.レンズ選び
3.その他の道具
4.フィルム選び
5.カメラの保温方法
6.露出の決め方
7.構図の決め方
8.出発前の練習
9.現地での実践
10.Q&A--FAQ
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1.カメラ選び
なんといっても一眼レフタイプがお勧め
一眼レフのいい点(オーロラ向き)
- 数十秒という時間シャッターを開いておくために「バルブ」というポジションがあり、
自分の好きな時間シャッターを開く機能がある
- あるいは、カメラのシャッター速度を1秒〜30秒にセットできる
- レンズを交換することができる=オーロラには広角レンズがお勧め
- レリーズをつないでカメラに直接触らずにシャッターが押せる
コンパクトカメラの悪い点(オーロラには不向き)
- 「バルブ」にして自分の好きな秒数でシャッターを開くこともできなければ、
カメラに「○○秒」というシャッター速度のポジションなどない
- 中には勝手にストロボが光る
- レリーズを付ける事ができないために、カメラを直接さわらなければならない
- レンズが暗い(最近の一眼レフにセット販売されているズームレンズも暗いですが...)
- まさかとは思いますが、三脚にとり付ける穴がないカメラもある
デジタルカメラの性能(あと一息)
○10秒以上のシャッターをセットできる物がでてきている。
×しかしズームレンズ式となっている物は望遠の傾向が強い。
×電池消費量の多い物は電池の予備が必要
ながしまの独断カメラのオーロラ撮影に必要なカメラを考えるための表
| 一眼レフ | コンパクト カ メ ラ | レンズ付き フィルム | デジカメ |
バルブ | ○ | × | × | × |
1秒〜30秒シャッター | △ | × | × | × |
レリーズ取付 | ○ | × | × | × |
レンズ交換 | ○ | × | × | × |
三脚取付 | ○ | ○ | × | △ |
ストロボ強制発行停止 | ○ | △ | × | ○ |
あなたのカメラのオーロラお勧め度のチェック
□「バルブ」のとき、電池を消費しますか?
-
初心者には、できれば電池無しでも「バルブ」が切れ、フィルムの巻き上がるものがお勧め。
そんなカメラは少なくなってきました。最近のAF(オートフォーカス)カメラをはじめとして、
バルブが電子式という電池を食うカメラがほとんどになってきました。
でも、リチウム電池のタイプならなんとかオーロラの撮影ができます。
というのも、大抵の方がオーロラツアーでいかれるのですが、3夜〜5夜程度なので、電池を2-3組み余計に持参するのがいいと思います。
私の持っているカメラでいうと、ペンタックスばかりですが電池を見ると
カメラ | 発売年 | 電池の種類 | 電池無 バルブ | 1秒以上シャッター | 電池無し フィルム巻上 |
ME-Super | 1979 | LR-44×2個 | 可能 | 4秒(AUTO時4秒) | ○ |
ME-F | 1981 | LR-44×2個 | 可能 | 4秒(AUTO時4秒) | ○ |
Super-A | 1983 | LR-44×2個 | 不可 | 15秒(AUTO時4秒) | ○ |
Z1-p | 1994 | 2CR5×1個 | 不可 | 30秒(AUTO時30秒) | × |
MZ-5 | 1995 | CR2×2個 | 不可 | 2秒(AUTO時30秒) | × |
MZ-7 | 1999 | CR2×2個 | 不可 | 30秒(AUTO時30秒) | × |
Super-AのLR44でバルブというのは最悪ですね。ボタン型のマンガン電池仕様のカメラは、どうにか外部電源にしないと無理ですね。
□「シャッター30秒や15秒」がありますか?br>
-
1/30(30分の1秒)ではありません。1分=60秒の半分で30秒という意味です。
オーロラを撮影する時、15秒や30秒があれば、撮影はグンと楽です。<
電池がなくても作動するカメラと、電池が常時必要なカメラについては下記を
□30秒がなければ「バルブ」がありますか?
-
上記の30秒15秒、バルブがないカメラ、あるいは自分でセットできない、意味が分からない場合にはオーロラの撮影は
あきらめましょう。どんなに綺麗なオーロラが出ていても、それを写すには写真技術の拾得は必要です。
バルブと30秒とどちらがいいかと言えば、私は30秒セットの方をお勧めします。撮影が非常に楽です。
私の持っているMZ-7やZ1-pには30秒露出と自動巻き上げがあるおかげで、連続自動撮影を行うことができます。
□三脚を取り付ける事ができますか?
-
一般的な一眼レフカメラなら、三脚は取り付ける事ができると思います。
□レリーズを取り付ける事ができますか?
-
最近はメーカーごとの電気ケーブルを取り付けるようになっています。
古いカメラだと汎用のケーブルレリーズが利用できます。
※では、どんなカメラを選べば良いか
-
・電池を喰ってもよい
Z1-pなど最近のカメラにはリチウム電池(2CR5、CR2、CR123など)という容量の大きく、低温でも性能が出やすい電池が使用されています。
数分〜数十分という長時間シャッターではないので、予備を2-3組持って行けば大丈夫と思います。
(といいつつリチウム電池は1セットで1500円以上になるので、ちょっと高いですが、3年以上は保存が効くので帰国後なくさないように保管して下さい)
私は98年99年はME-SやME-Fでチャレンジしましたが、2000年からはMZ-5やMZ-7でチャンレンジして成功しています。
・2001年に、電池を喰わないカメラはどうなっているか
Pentaxがお勧めなわけ
Pentaxのラインナップは、MZ-MというAFでない安いカメラがありますが、フィルム巻き上げは電動なので、他社の物を選択します。
リコーのXR-8Super(ボディのみ定価29,800円) XE-7M(ボディのみ定価29,800円)
ビクセン(望遠鏡メーカです)のVX-1(ボディのみ定価32,500円)VX-2(ボディのみ定価32,500円)
これらのカメラは手動巻き上げです。
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2.レンズ
□大体28mmより広角なレンズがお勧めです。
35mmでやっと、50mmで限界という感じです。
望遠レンズは諦めましょう。
レンズの解放F値も2.0や2.8がお勧めです。4.0で限界です。
私はシグマ製28mmF1.8とPentax製フィッシュアイ・ズーム17mm-28mmを使っています。
ながしま お勧めレンズガイド(作成中)
□ピントを自分であわせ、∞(無限遠)で固定できますか?
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3.その他の道具
三脚を用意しましょう。
数千円のものでいいのです。旅行なので軽いものがお勧め。あまりぐらぐらしないものを選んでください
ビデオ専用の物は、カメラを縦位置にセットする事ができないので、注意が必要です。
懐中電灯
単三電池が1個か2個程度のものを選んで下さい。
星を見る時と同じですが、これ以上大きい物では、
暗闇になれた自分の目が、眩しさで暗いもの(オーロラ)が見えなくなるほか、
不注意で他人を眩しく照らす可能性があります。
また、ポケットに入れて暖めてください。
また、天体観察には常識ですが、懐中電灯の全面に赤いセロファンなどを付けておくのもいいですね。
2000年秋には、100円ショップで単三乾電池2個入りのものを売っていましたが、なかなかしっかりした造りと、
手袋をしても操作できる感じで、お勧めです。
さらに、この懐中電灯にヒモをつけましょう。
テープ
レンズのピント(とズーム)を固定するため。カイロをレンズに付ける時にうっかり回さないために必要です。
ストッキングなど
カイロをレンズに縛り付けます。さらに、これにタオルなどをまいて、しっかり保温しましょう。
保温方法は別項目で説明します。
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4.フィルム選び
カラーネガフィルムで感度ISO400-800程度のものがお勧めです。
オーロラは非常に明るい部分から、淡い部分があるため、ポジよりはネガがいいようです。
私のオーロラの写真は全部、フジカラーSuperG800で撮影しています。
ISO1600では、ちょっとザラツキ感があるので、他に天体写真やスナップにも使えるので800を選んでいます。
2000年12月の旅行はでは、改良されたFuji Superia ZoomMaster800を使用しています。
スナップもますます綺麗に写ります
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5.カメラの保温方法
カメラを保温するためにカイロが必要です。
夜間撮影には夜露がつきもの...気温が氷点下の場合凍ります→霜。露が着いても霜になってもきれいな写真はだめです。
夜間の天体撮影をされた事のある人は御存じだと思いますが、夜露は大変厄介です。
日本であれば、使い捨て回路を靴下にいれて、それをレンズに巻き付けてレンズの保温(加温)をしましょう。
カイロが手っとり早いのですが、使い捨てカイロは外気温が0度以下のところに放置しておくと冷えて固まってしまいます。
そこで、火を使うカイロの登場です。これをストッキングなどに入れてレンズにグルグル巻に巻き付けます。
こうなると、レンズのピントが動いていしまいます。
あらかじめレンズを∞(無限遠)マークにあわせ、ズームがあれば広角側に固定します。
そして、幅の拾いテープ(粘着力はそこそこのテープ)をぐるっと巻き付けて止めます。
そして、カイロを取り付けておきます。
これらの作業は明るいところで、例えばホテルの部屋でやっておきましょう。
またカメラ本体も温度低下を防ぐためにできればカメラの背面にもカイロを固定しておきましょう。
現地ではファインダーののぞき穴とレンズ意外に布を巻き付けるなどして、カメラを低温から守りましょう。
屋外で待つばあいには、さらにカメラ全体をすっぽり覆う袋をかけて待ちます。
白金カイロや灰カイロなど「火」を使うカイロを入手しましょう。
白金カイロは、保温状態にもよりますが、マイナス20度までが限度でしょう。
それ以下になる場合には、電気式のヒーターを考えた方がいいかもしれません。
カメラを冷やさないために、お腹にいれておくといいでしょう。
この場合、必ずビニールの袋などにいれてからお腹にいれましょう。さもないと汗でカメラが湿ってしまい、そのまま凍ります。
●使い捨てカイロ
これでチャレンジされる場合にはとにかく、カイロを冷やさないようすること。
効果を増すために、1個でなくできるだけたくさんの使い捨てカイロをレンズやカメラにに付けましょう。
固定はストッキングに入れて、レンズに縛り付けます。
●白金カイロ
日本伝統の(株)ハクキン
の燃料式カイロです。
値段も手ごろです。
ハクキンのホームページには日本全国の取り扱い店が載っているので、お近くの販売店を探してみて下さい。
●電気式ヒーター
カイロは気温が下がり過ぎると、そのままダメになってしまいます。
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6.露出の決め方
露出時間
だれもが一番感心のあるのがこれでしょう。
頭上にあらわれ、空一杯に光るオーロラの場合、月明かりも少なく、雲もない状態です。
| F2.0 | F2.8 | F4.0 |
ISO400 | 15秒 | 30秒 | 60秒 |
ISO800 | 8秒 | 15秒 | 30秒 |
遠くのオーロラの場合には光も弱いので
| F2.0 | F2.8 | F4.0 |
ISO400 | 30秒 | 60秒 | 120秒 |
ISO800 | 15秒 | 30秒 | 60秒 |
露出は何段階かにかえて撮影してみて下さい。逆に、明るい部分〜暗い部分が連続しているため、
あるっ程度、適当な露出でもどこかが必ず写っているということであり、あまり心配せずに自信を持って
チャレンジしてみて下さい。
とは言えチャンスは一度だけと思って、ありったけのフィルムを使っていろいろに撮影してみて下さい。
下の写真は約7分の露出です

(右)1998/2/1 28mmF2.8->4.0 400秒 SuperG800
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7.構図の決め方
構図
前述のとおり、地上の風景を入れた構図を構えましょう。
これがなかなか難しいですが、オーロラが現れてからでも遅くないので、しっかりとした構図をとりましょう。
下の写真は50mmレンズで空をねらったものです。

1998/2/1 50mmF1.4解放 20秒 SuperG800
このように空の一部分を切り取るため、ただ光っている何か...という感じで終わってしまいます。
下の28mmぐらいだと、広い部分を写し込む事ができます。

1998/2/1 28mmF2.8解放 30秒 SuperG800
〜頭上以外で輝く場合〜
遠くで小さく見えますが、写真の範囲に入り込みやすいです。
この場合には、35mmや50mmくらいの方がいいかもしれません。
フェアバンクス郊外のスキーランドでは北の空の見通しが良く、
はるか北の空にあらわれたオーロラは下の写真のように写ります。

1998/2/2 28mmF2.8解放 90秒 SuperG800
またできるだけ地上の風景を少し入れて撮影してみて下さい。

(左)1998/2/1 50mmF1.4解放 30秒 SuperG800
(右)1998/2/1 28mmF2.8解放 30秒 SuperG800
ほんのちょっと地上の部分の何かが入るだけで、アクセントとなって、引き締まります。
下の写真は、スキーリフトの塔の一部分ですが、これだけでも、空中のオーロラのみの写真と比較してみて下さい。
記念の一枚が引き立つこと間違いありません。

1998/2/1 50mmF1.4解放 40秒 SuperG800
もし、手許にオーロラを解説した本やオーロラのツアーなど旅行社のガイドブック、「地球の歩きかた」など
ありましたら片っ端から開いてみて下さい。
オーロラの写真は全部地上の何かが必ず入っていると思います。
たとえ木の2-3本でもいいので入れてみてださい。
(木はクリスマスツリーになりそうな木ばかりですので、どれも絵になります)
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8.出発前の練習
暗闇、極寒などなど悪条件がかさなります。
そこでまず、部屋を暗くして、懐中電灯の光りだけで、いろいろな操作ができるようにしておきましょう。
三脚の向きを買えたり、一からストッキングを巻いたり、とにかく全部のことをくり返し練習しましょう。
外へ出て撮影しましょう。
夜、屋外へ出て、難しければ部屋の窓からでもよいので、夜間撮影にチャレンジしましょう。
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<9.現地での実践
オーロラの特徴
オーロラは上空100km-500kmで光り輝きます。
フェアバンクス市あたりでは、頭上で光る事もあれば、はるか彼方で光る事もあります。
〜頭上で光る場合〜
空全体を次から次から光のカーテンがかけ抜けて行きます。
この場合50mm38mm35mmでは、この空の一部分しか撮影する事はできません。
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10.Q&A
メールなどで問い合わせあった内容を御紹介します。私の主観に基づく見解ですので、
あくまでも「参考意見」として読んで下さい。
Q)オーロラ撮影とフィルムのポジ、ネガの違いについて
A)オーロラは明るい部分と暗い部分が連続してかつ明るさの差が激しいので、ポジよりは、
ネガフィルムの方が写りやすいです。ポジは露出がうまくいくと、色もきれいなのですが、
露出の幅はすくないので、見た目あかるく写るのがネガです。
ネガの方がお勧めです。
Q)三脚はどのようなものを選べばいいですか?
A)海外旅行では、なにかと荷物が重くなり大変です。35mmカメラなら、ディスカウントで5,000円以内で
売っているもので、十分でしょう。
ビデオと共用でもいいですが、ビデオ専用になると縦・横に動かないものがあるので、確認して買いましょう。
Q)レンズを買った方がよいでしょうか?28mm-80mmというカメラを買った時に付いていたレンズです。
A)ズームレンズはF値が暗いので、ズームレンズでなく単焦点で広角で20mmとか28mmとか、できれば2.0とか2.8とかのレンズを選びましょう。
明るいレンズの方がオーロラもきれに写すために有利です。
Q)レンズ付きフィルムでは、どうですか?
A)絶対に無理ですの、諦めましょう。
Q)全自動コンパクトカメラですが、どうですか?
A)これも殆ど無理ですので、あきらめましょう。
Q)やっぱり重たい思いをして、一眼レフカメラでないと無理ですか?
A)そうです。しかし、最近では軽量コンパクトで28mmF3.5〜ズーム付き廉価な一眼レフがありますので、思いきって買いましょう。
当然ながら三脚の用意も必要です。これが一番かさばりますが、しっかりした物をもって行って下さい。
Q)なぜカイロがいるのですか?
A)オーロラ撮影のカイロの目的には2つあります。一つはレンズを冷やさない。一つは本体、フィルムを冷やさないためです。
レンズが冷えるとレンズに夜露や霜かついて、肝心なオーロラの光をとらえられなくなります。これは日本でもおこることです。
本体が冷えると電池の性能が悪くなって、シャッターが開かない、フィルムが送れないことになります。
マイナス10℃以下では気をつけたいです。フィルムが冷えると、フィルムが切れる恐れがあります。
マイナス30℃以下では気をつけたいです。
Q)使い捨てカイロは固まってダメと聞いたのですが...
A)使い捨てカイロは、衣類の内側、靴の中など体に着けて使用するのであれば、
本来の利用目的である「身体の保温」には十分に役立ちます。
しかし、カメラに取り付けて使用するのであれば、しばらくすると冷えて固まります。
オーロラの見えるような所ではあっというまです。カメラの保温にはほとんど役にたちません。
Q)白金カイロの入手法法を教えて下さい。
A)製造元は今でも製造しているようです。薬局などをこまめに探してみて下さい。
(株)ハクキンのホームページには販売店一覧があります。
Q)白金カイロを買いました。燃料がペットボトルのような入れ物に入っていました。どうやって現地まで持って行きますか?
A)可燃性液体の飛行機の持ち込みは、「預け」、「機内持ち込み」とも禁止されていますので、ここで詳しく説明できません。
ヒントとして、私は夜更かしをする時に薬局やコンビニでも売っているあるものを飲みます。その入れ物を捨てずに、持ち帰ります。
あくまでも、「持ち込み禁止品」に該当するので、当然ながら飛行機に乗る前に行われる、何らかの質問に対しては「ノー」または「いいえ」と言います。
(飛行機会社の人、許して...)
ファイト!! 一発!! 24時間戦えますか?ジャパニーズ・ビジネスマン(ちょっと古いか).....つぶやきでした。
Q)フェアバンクスの町中のホテルのある所からオーロラの写真は撮れますか?
A)町中では、けっこう街灯が明るいので、できれば郊外までなんらかのツアーに参加される方がいいと思います。
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